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自転車から野犬に向かって「チョーク」と叫ぶ

自転車シリーズ。
ある南の島で暮らしていた時のこと。
そこでの足は自転車だった。
なにせ公共交通手段がないからだ。
もちろん信号ひとつないし、横断歩道なんてあるわけがない、街灯のようなものもない。
そして、自動車はとてもゆっくり走っている。急ぐ必要がないからだ。
とても安全なようだが、身に危険をかんじることはある。頻繁に。
危険信号は犬。
この島では犬はかわゆいペットなのではなく、だれかの野犬である。
誰かの野犬というのは、変な日本語だけれど、誰かがセキュリティーのために飼っていて
人間嫌いの恐ろしい表情で、あばら骨が見える飢えた犬だから野犬に等しい。

野犬との格闘は日課だった。
自転車で職場である環境事務所に向かう道に野犬がいた。
カーブを抜けた家の前に2頭。

バナナやパパイヤの木を見ながらの快適なサイクリングも、カーブに近づくと一変する。
ぼくは石を拾うために自転車を降り、石を数個、右手で握りしめる。
そしてスピードをおとしてゆっくりとカーブにはいる。
すると野犬のお出ましだ。狂った目で牙を向き、吠えながらのすごい勢いで走ってくる、突進!
恐怖を感じる。
しかしひるんではいられない。
ぼくは石を投げ「チョーク(あっちいけ)」と叫ぶ。威圧的に。
でも決して彼らに石を当ててはいけない。報復を受けないためだ。
彼らの足が止まるのを見ながら刺激をしないようにゆっくりとその場を去る。

野犬がどこから出てくるか分からない場所へいくと、野犬に囲まれることもあった。そのときは自転車を盾にした。

この島にきて自転車に乗る「外国人」は2つの洗礼がある。
犬にかまれてしまうことと、栄養不足によるイターィ「ボイル」とよばれる「できもの」だ。
幸運なことにぼくはどちらもなかった。
自転車とその島に愛され、守られていたに違いない。

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